|
眼光鋭く
超音波と光学式眼軸長
眼軸長は眼の屈折度を決める重要な要素の一つである。眼球の前極と後極を通る軸を眼軸(geometrical axis)と呼んでいる。眼球の屈折面が回転対称であれば、この眼軸と光軸は一致する。角膜頂点から眼球後極までの距離を外眼軸長といい、角膜頂点から中心窩の網膜面までの距離を内眼軸長と呼ぶ。屈折に関連するのは後者の方で、一般に断りがなければ眼軸長と言えば内眼軸長を指すことが多い。
眼軸長の測定には、X線光覚法やX線画像による方法、optical phacometryから計算による方法などが用いられてきたが、近年では超音波による眼軸長測定が広く普及している。これは従来の方法に比して、正確で簡便に測定できるためである。眼軸長測定にはA-scanが主に用いられる。Aはamplitude(振幅)であり、B-scanのBはbrightness(輝度)の意味である。
最近では、光学式の眼軸長測定装置も利用できるようになってきた。測定の基本原理は干渉計測であるが、光源には可干渉性の低いSLD(スーパールミネッセントダイオード)を用いて、角膜前面と網膜面での反射光の干渉から眼軸長を計測する方法である。この方法の最大利点は非接触での光計測が可能な点である。また、原理上の精度は波長オーダーになるため、従来の超音波の精度(0.1〜0.05mm)を上回るものと期待されている。しかし生体計測上の精度は約0.05mm程度である。さらに、干渉計測で測定できるのは光路長(光学的距離)であるため、眼軸長を算出するには、眼球内部の屈折率が判明しているかさもなければ仮定値を用いなければならない。眼球の平均屈折率(換算屈折率)は、模型眼(Gullstrand)によれば、ほぼ1.350(調節休止時)〜1.352(最大調節時)程度となる。また、無水晶体眼では約1.338、20D程度の眼内レンズが移植された偽水晶体眼では1.35(PMMA)、1.345(Acrylic
lens)、1.342(Silicone lens)程度の平均屈折率となる。光学式の利点は、平均屈折率の変化が少なく、最大の無水晶体眼においてもその変化量の相対値は高々0.22%しかないことである。従来の超音波における眼内組織(1532〜1641m/s)あるいは移植眼内レンズ(1000〜2700m/s)による音速の変化(50〜80%の変動)に比べれば、極めて小さい。
以上のことを考えると、光学式眼軸長測定装置は非接触で高精度のメリットはあるが、現時点では眼軸長以外の、角膜厚、前房深度や水晶体厚の同時計測が出来ないことと、白内障混濁の影響を強く受ける問題点もあるため、臨床的には超音波装置と同程度の有用性と考えられる。

図-1(魚里):眼軸長と光路長
|
|